谷川俊太郎氏揮毫

★ミッドナイト・プレスからのお知らせ

*倉田良成氏が、8月25日亡くなられました。享年66。ご冥福をお祈りいたします。

*八木幹夫さんの新詩集『郵便局まで』を刊行しました。詳細はこの下をごらんください。

『郵便局まで』の野村喜和夫氏による書評が、2019年10月7日付公明新聞に掲載されました。

*ふし文人さんの新詩集『サラサラと流れる水くさい水』を刊行しました。詳細はこの下をごらんください。

*山羊塾第16回 井上輝夫「詩と哲学と安曇野」は、11月9日に開かれます。詳細はこちらへ。

★新刊のお知らせ

八木幹夫『郵便局まで』

A5変型・上製 定価:本体2300円+税 装丁・大原信泉 装画・Ameena Rose Williams 2019年9月1日発行

 このたび八木幹夫さんの新詩集『郵便局まで』を刊行しました。草木の時間に耳を傾け、人の時間に目をやるとき、一篇の詩が生まれる。ことばの魅力をよく知り尽くした八木さんの抒情精神が見事に生かされた詩集となりました。読んでいて、思わず唸らされることがしばしばで、八木さんの詩法に堪能させられます。

 長い詩が多いので、タイトルポエムからその一部を引いてみます。

 

 歩いて10分ほどの距離だ

 傘をあおる風

 路面はふんわりと雪につつまれた

 誰も通らない道を戻ってきて

郵便局にむかう足跡に気付いた

(さっきここを過ぎたワタシのものだ)

振り返るまでもなく

雪は往路と帰路の痕跡を消していく

それがとても嬉しいことに思えた

雪よ ふれ

        (「郵便局まで」より)

 

詩集一巻を読み終えたとき、読者は「非情の抒情詩人、八木幹夫が到達した未踏の領野」のなんたるかを味わうことでしょう。この珠玉の詩集が多くの方々に読まれることを願っています。(2019.9.16

*『郵便局まで』の野村喜和夫氏による書評が、2019年10月7日付公明新聞に掲載されました。

★新刊のお知らせ

ふし文人『サラサラと流れる水くさい水』

A5変型・並製 定価:本体2500円+税 装丁・大原信泉 装画・伏見光子  2019年9月20日発行

ふし文人(ふしふみと)さんの第一詩集『サラサラと流れる水くさい水』を刊行しました。浮遊するものたちが闇を駆け抜けていくとき、キラキラと輝くものたちが世界を照らす。そのとき、風のように歌が生まれる。川のように歌が流れていく。21世紀の吟遊詩人、ふし文人が紡ぐことばは、ポップな響きを聞かせつつ、生の切なさを歌います。

 長い詩が多いので、「アルタ前の固ゆで卵」からその一部を引きます。

 

 彼の潤んだ眼を見ると、そこには焦りと期待と夢と不安がこんがらがっ

  ていた

 これが東京という町なんや

 私はやりきれない哀しさと、少しの勇気を胸にもらった

 見知らぬ人々でごった返すアルタ前をあとにして

 ふと見上げると、そこにはネオンが光っていた

 「みんなの夢が叶うといいね」

 それは美しくもはかない物語のように 

 私のこころを強く揺さぶった

 

 ふしさんは、詩を書く一方で、映画を作られています。言葉と映像について、ふしさんはこんなことを言っています。「共通点はどちらにも文法があり、またカオスな世界を限定するということ。いや、人間らしくする、といったほうがいいだろうか。」言葉に映像に、チャレンジングな試みを続けるふしさんのこの詩集が、ひとりでも多くの方々に読まれることを願っています。(2019.9.20

★新刊のお知らせ

兼子利光『パゾリーニの生と〈死〉 生きられた映像の詩学

四六判上製 定価:本体3100円+税 装丁・大原信泉 2019年5月20日発行

 かつて、このホームページで連載された兼子利光さんのパゾリーニ論が一冊の本になりました。

 「ピエル・パオロ・パゾリーニ(一九二二七五)の決して長いとは言えない五十三年の生涯、惨殺死という衝撃的な死で閉じた生涯を、その際立つ個性の、外からは窺い知れない心の底のほうから特徴づけるものは何か。」

 こうした印象的な一文から書き起こされる『パゾリーニの生と〈死〉』は、読み進めるにつれてぐいぐいと引き込まれます。兼子さんは、パゾリーニの全映像作品を深く読み解くことで、〈世界〉の新しい見方を提示したのだといえます。

 

  パゾリーニの死は、パゾリーニに属さない。

  パゾリーニの死は、〈社会〉に属する。

 

       イタリア現代史をふまえて 

 パゾリーニの映像/詩と〈死〉を徹底的に読み解く

         画期的パゾリーニ論

 

 これは帯文のことばですが、この本を読み終えたとき、この論考がいかに画期的なものであるか、読む者は深く知るでしょう。

 「わたしにとってパゾリーニの映画作品は長い間、カフカの『変身』の主人公がある朝、目覚めたとき感じた「気がかりな夢」のようなものだった。その「気がかりな夢」に少しでもかたちを与えようと試みたのが、このパゾリーニについての考察である」(著者「あとがき」より)

 パゾリーニの詩が多く紹介されているのも、この本の大きな魅力です。

 

 それはあの匂いのようだ

 雨上がりの野原や川岸から

 すばらしい季節のはじまりの日々に、

 

 街に吹いてくるあの匂い。

 きみはそれがなんなのかわからず、

 なつかしい想いで気も狂わんばかりだ。

   (パゾリーニ「掘削機の嘆き」より。兼子利光訳)

 

 肌に吸いつくようなベルベット加工の手ざわり、そして赤と黒で統一された装本も、一度手にとって味わっていただければ幸いです。

 

 *ピエル・パオロ・パゾリーニ(1922—1975)イタリアの映画監督、詩人、小説家、思想家。1961年、『アッカトーネ』発表以後、『奇跡の丘』『アポロンの地獄』『テオレマ』『王女メディア』などを経て、「生の三部作」である『デカメロン』『カンタベリー物語』『アラビアン・ナイト』を発表、その後、「生の三部作」を放棄して、『ソドムの市』を制作。その撮影を終えた直後、1975112日、ローマ郊外で激しく暴行された上、轢殺された。詩集に『グラムシの遺骸』ほか、小説に『生命ある若者』などがある。

*2018年までに刊行された詩集については、ミッドナイト・プレス既刊詩集ミッドナイト・プレスの本などをごらんください。