★山羊塾開講中!

第6回(5月20日)、取り上げる詩人は平田俊子です。

山羊塾開講にあたって  八木幹夫

ここ数年、地元の公民館の高齢者を対象に「詩」についての話をしてほしいという依頼を何度か受けて、さてどんな話が午後の一番居眠りしたくなる時間に興味をもっていただけるか。考える。「現代詩」と呼ばれるものを読んだこともなければ、聞いたこともないというのが聴衆の大半だ。幸い、神奈川県の相模原市には津久井郡(現在は相模原市に合併)から生まれた『八木重吉』という詩人がいる。名前は私と同姓だが、全く血縁関係はない。ただ八木姓がこの津久井に多いのは確かだ。この名前と作品は小学生の時から知っている。市在住歴の長い方は詩人八木重吉を知っている方が多い。特に「素朴な琴」はうろ覚えではあってもその詩的感動を味わった経験のある人がいる。

 

素朴な琴

 

このあかるさのなかへ

ひとつの素朴な琴をおけば

秋の美しさに耐えかねて

琴はしづかに鳴りいだすだらう

 

この詩を糸口、導入にして私は喋りはじめる。それには次の理由がある。八木重吉の詩はまず、一つも難しい言葉を使っていない。短く、平明であり、かつその内容が深い。現代詩と呼ばれるものは、この正反対に意味が不鮮明、個人の内面を書くと言っても、読者との共通項が少ない。内容は浅いのに長く難解な語彙をだらだらと使う。さらに云えば、自らの経験や思考をこれ見よがしに垂れ流すかその反対に自らの経験や実感から離れすぎて抽象韜晦に走る。自分の持つ感性や感覚を大切にしない。表現への野心だけはあるが、実質を伴わない架空の経験に読者を振り回す。

こういった傾向が近年ますます激しさの度を増している。大袈裟で、過度な表現が多すぎるのだ。生き方がこぢんまりと保守的であるのに、言葉だけが過激な独り歩きをしている。もちろん実験的であることは面白いことだ。しかし隠喩法等の過剰が現実の「自己」を貶めていることに気付かない。隠喩や換喩が世界を把握する方法だと思い込んでいるフシもある。

こうした異常事態を山羊塾では、もう一度丁寧におさらいをしようというのだ。新鮮な感性、感覚を取り戻す試みを考えていきたい。人が「詩」を書くとはどういうことなのか。「詩の言葉」と日常会話や新聞・スマホ・ライン・ケータイ・パソコンで交わされる言葉とはどういう質的な違いがあるのか。ロマンチックなことを歌うというのが「詩」の役割とは限らない。深刻な現実と対峙して歌われるものも「詩」になるものはある。こうして考え始めると「現代詩」が抱えている問題は次々に出てくる。

山羊塾では様々な観点から詩の魅力を取り上げてみたい。

1.近代・現代の詩人たちの魅力的な作品にふれ、その滋味を味わう。

2.詩を書く以前に、作品を分析する力を養う。批評力の向上。

3.構造をもった散文や詩。構成力を詩や散文を通して学ぶ。

4.感動はどのようにしてやってくるのか。

5.常識と非常識。論理と非論理。日常と非日常。表現の根底にあることを読み取る。

6.作品における「私」とは誰か

ほぼ以上のようなことを前提にその都度、聴講者の意見なども取り入れながら講座を進行させていきたいと考えている。皆さんの「詩」に対する情熱に応えられる講座にしたい。

講師:八木幹夫(やぎみきお)

1947年、神奈川生まれ。著書に、『野菜畑のソクラテス』『八木幹夫詩集』『川・海・魚等に関する個人的な省察』など8冊の詩集、歌集『青き返信』ほか。

山羊(さんよう) という俳号で俳句を詠む。

2014年、『渡し場にしゃがむ女 詩人西脇順三郎の魅力』をミッドナイト・プレスから刊行。

これまでの山羊塾

第1回 2015年10月3日(土) 宮沢賢治

第2回 2016年3月5日(土) 梶井基次郎

第3回 2016年7月10日(日) 西脇順三郎

第4回 2016年10月8日(土) 辻征夫

2017年度講義予定

取り上げる詩人は現在活躍中の女性詩人(一部例外的に明治期の歌人を含む)について今年は皆さんと一緒に学んでみたいと思います。また、折々に下村康臣、与謝野鉄幹、車谷長吉らの文学観などにも触れられたらと考えています。

 

2月 山本かずこ―表現としての女性性―

5月 平田俊子―諧謔と言葉あそびの向こうに見えるもの―

8月 与謝野晶子―短歌表現の中にある現代性とポエジー― 

11月 高橋順子―詩集「時の雨」から「海へ」に流れるもの― 

 

「山羊塾」を受講される皆さんへ

今年は女性詩人に焦点をあててみたいと思います。ちょっと怖いなという実感もあるのですが、この世に男と女という二つの性があるのですが、もしかしたら第三の性もあるのかもしれません。かつて富岡多恵子と一緒に居酒屋で呑んでいた西脇順三郎が不意に立ち上がって「わたしは女だ!」と叫んだという逸話が残っています。この時西脇が伝えたかったことは人間の奥底に眠っている「男でも女でもない、女でも男でもある」両性具有性(「幻影のひと」)を象徴する発言だったような気がします。女性にも男性にも隠れている異性性を作品に読み取ることは言葉や思想に染み付いた男女間のヒエラルキーや偏見を突き崩すキッカケになるかもしれません。受講者の皆さんと意見を交わしながら講義を深めたいと思います。

 

 2017年1月                      八木幹夫 

第5回日時決定!

日時:5月20 日(土)、11:30〜13:30

場所:ルノアールMS&BB 池袋西武横店8号室

〒171-0022 東京都豊島区南池袋、1-16-20、ぬかりやビル2階

地図:https://goo.gl/maps/PLqgWvsuNED2

取り上げる詩人 平田俊子

 

*お申込み方法が変わりました。

下記の事項を明記して、

ミッドナイト・プレス宛てメールで(email@midnightpress.co.jp)までお申し込みください。

なお、電子メールを使用できない方は電話048・466・3779(ミッドナイト・プレス)までお申し込みください。

 

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申込み締切:5月13日