ミッドナイト・プレスからのお知らせ/編集者の手帖

〈お知らせ〉

新刊のお知らせ

  川田絢音さんの新詩集『ぼうふらに摑まって』を刊行しました。『流木の人』から3年。書かれたことばの後ろにあるものの無量が内蔵された詩集が生まれました。詩とはなにか。その答えのひとつが、ここにあります。ひとりでも多くの人に手に取っていただければ幸いです。

 

midnight poetry lounge vol.10のお知らせ

「ハート・クレインの詩作法と解釈ー白い建物とブルックリン橋ー」講師=岩田英哉 62日(土)午後2時−5時ルノアールMS&BB池袋西武横店4号室 会費=1000円(飲物別途) 

問合せ・予約申込み/電話070・5579・1564(中村)

 poetrylounge2010@gmail.com

 

○228日に行われたmidnight poetry lounge vol.、倉田良成さんの「堀川正美を読む」の記録をアップしました。堀川正美の詩の核心に迫る、読み応えのある論攷です。ご一読いただければ幸いです。

 

                  (2012年5月1日)


 

〈お知らせ〉

もや主催によるグループ展「moya」が、419日(木)から24日(火)まで、文京区関口のGallery NIWで開催されます。出展者は、今橋大輝(写真)、小林レント(詩とイメージ)、古沢健太郎(音響)、山内豊季(立体)、山本皓毅(映像)、依岡みどり(絵画)。詳細は、下記サイトまで。

http://mementomoya.web.fc2.com/

                   (2012年4月11日)

 

4月4日(水)

「詩の図書館」を更新しました。新しく収められたのは、川田絢音さんの『ピサ通り』から十篇です。そして、川田絢音さんの新詩集『ぼうふらに摑まって』がまもなく刊行されます。なお、「詩の図書館」、次回は中江俊夫さんの詩が収められます。

3月24日(土)

本日、下記のコンテンツを更新しました。

小林レントの「小さな場所から」

「詩を読む会」第三回のレポート

3月16日(金)晴れ

  吉本隆明氏が、16日午前213分、肺炎のため、都内の病院で亡くなった。行年87歳。

 いつかはこういう日を迎えなければならないことを心のどこかで覚悟はしていたが、いざその日を迎えると、ことばなんかなにも出てこない。

 吉本さん、ありがとうございました。どうぞ、心安らかに。

 

〈お知らせ〉 

 「詩の図書館」に、新しく伊藤比呂美さんの『草木の空』を収めました。この後、川田絢音さん、中江俊夫さんの詩を順次予定しています。

 

  *

 

 昨年、慶應義塾大学出版会から出版された井上輝夫氏の『詩想の泉をもとめて  ケンブリッジ、ニューヨーク、福江島まで』が、このたび、第12回日本詩人クラブ詩界賞を受賞されました。かつて「詩の雑誌midnight press」で連載されていた文章が収めらたこの本が授賞されたことをうれしく思います。井上さん、受賞おめでとうございます。

                    (2012年3月6日) 

2月29日(日)曇り

 昨日は、西日暮里のルノアール会議室で、midnight poetry lounge vol.9「堀川正美の詩を読む」が開かれた。講師は、最近、『椨的思考』を上梓した倉田良成さん。どんな話が聞けるかと、たいへん楽しみにしていたのだが、倉田さんの導きで、堀川正美の読み方を教えられたように思う。そもそも、なぜ「太平洋」なのか。躓きの石は、すでにここに用意されていたといえるだろう。『太平洋』は堀川正美にとっての一切経であるという倉田さんのことばを聞いたとき、この詩集『太平洋』は、ひとりの冒険者の精神の記録であることが了解された。つまり、『太平洋』を、一篇の叙事詩として読む。そのとき、詩句は、これまでとは異なる相貌を見せ始める。「時代は感受性に運命をもたらす。」という詩句が反転するのだ。

 それにしても、冒頭に置かれた「漂流する窓と難破」という詩は輝いている。その第一連。いつでも、ここから始めることができるのだと、いざなわれる。

 

 けれども海と空とが溶けあっているあたりはあまりにも青いので目をこらしても水平線などないそこへむかって発せられる歌唱まで青くなって見えなくなってしまうそのあたり緑が雲のようにどこへともなく流れていて

 

 最後に、堀川正美の沈黙について、倉田さんは「それはカミキリムシが偉大だからでしょう」と笑いながら語った。

 

 1月24日(火)晴れ


時は滴り落ちる  ウィリアム・バトラー・イエイツ(井村君江訳)

 

「時」は燃えるローソクの

滴のように無くなっていく、

山々と森はその日々を持つ、

それぞれの日々を。

あなたがたは、どうぞ、

モミから生まれた森の

昔の軌道から、お願いです

外れていかないように。

 

 

 とても味わい深い詩だったので、ここに書き写しておく。

 

〈訃報〉

詩人の新井豊美さんが、121日午後4時、呼吸不全のため亡くなられました。

心から、ご冥福をお祈り申し上げます。

 

2012年1月22日      ミッドナイト・プレス 岡田幸文

 

1月18日(水)晴れ
 映画「フラガール」を見た。2006年公開の映画だが、2011年3月11日以後のいま見ると、この映画が含意する深い奥行が見えてくるようで、あらためて福島原発のことを思った。

  *

 これは「うまい詩」だとか「へたな詩」だとかいわれることがある。自分でもあまり深く考えもせずに、「うまい」とか「へた」とか言ってしまうことがある。だが、いつも考えるのは、「これは、いい詩」だと言うときの、「いい詩」とはなにかということである。かつて、吉本隆明氏に尋ねたところ、吉本さんは次のように答えられた。「たぶん、ふたつあって、ひとつは、イメージと意味の作用がうまく、強烈に融合してできている。もうひとつは、ことばの音韻と意味の作用が鮮明に融合してできている。どちらかに帰着してしまうんじゃないでしょうか」
 それに続いて、「ほんとうの詩、うその詩」ということについて尋ねると、吉本さんはおおよそ次のように答えられた。ひとつは、「詩とはなにかという問い」が内包されているもの。そして、「ことばのレベルのなかで、詩とはなにかという問い」が内包されているもの。それからもうひとつ、「ことばが関与しない、具体的な、現実的な世界に、ことばの世界を裸のままに置いたときに、詩とはなにかと考える契機。つまり、詩に関与しない外部の現実が抱いている、詩とはなにかという問い」が内包されているもの。「詩とはなにか」を考えようとしたら、この三つぐらいはちゃんと追いつめていかないとなかなか言えないのではないか。そのようなことを吉本さんは話された。
 これらの問いはいまなお現在進行形で迂生のアタマのなかを彷徨っているのだが、「いい詩」とは、「深い感銘を与えてくれる」詩であると、いまはとりあえず考えることにしている。

 「フラガール」は、いい映画だった。

1月9日(月・祝)晴れ

 チェット・ベイカーの映画を見て、辺見庸の「甘美な極悪、愛なき神性  新たなるチェット・ベイカー」を再読した。これは、およそ日本語で書かれた文章のなかでもかなり強力なもののひとつだろう。ことばを追いながら、思考はやがてチェット・ベイカーからことばへ、書くこととはなにかへと移っていた。

 ふと思いついて、あるいは意識的に、ノートにことばを書き始める。だが、次の瞬間には、そこに書きつらねられた文字を見て、オレはなんてばかなことをしているのだろうと絶望に襲われる。それでも手を動かしてなにかを書いてみる。それを通してしか、この絶望を超えるすべはないことを知りつつも、気がつくと手の動きはしだいににぶくなりはじめている。

 おそらく、チェットは、この種の「絶望」とは無縁であっただろう。彼は、ただなにものかを限りなく蕩尽するのみであった。

 詩は、蕩尽であるか。これは、いま思いついたことである。

 

1月5日(木)晴れ

 昨日、初仕事(?)で出かけた夜、チェット・ベイカーの映画『let’s get lost』のヴィデオを見る。ブルース・ウェーバーのドキュメンタルな映像は、先日見たマーティン・スコセッシの『ジョージ・ハリスン リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』を思い出させた。登場人物の一人ひとりがチェットを愛している。これ以外の生き方などチェットにはできなかっただろう。この映画が作られたのは1988年。その前年、チェットは二度目の来日公演をしている。そのライヴレコードのジャケットには彼のサインが記されている。I don't know what to say,may be Thanks Chet 87.

  ブルース・ウェーバーが撮るジャンキー、チェット・ベイカーの顔はキース・リチャーズのようにしわだらけだけど、かっこいい。そして、かなしい。その年の5月、チェットはアムステルダムのホテルの窓から転落死する。享年59歳。1988322日、僕は東京ドームでミック・ジャガーを見ていた。その日は、ミッドナイト・プレスの創立日でもあった。

 

 明けて、今朝は久しぶりにエニグマのファーストアルバム「サッドネス」(原題「MCMXC a.D.」)を聴いた。ジャケットに引用されたウィリアム・ブレイクのことばをたしかめるようにして読む。

 The path of excess leads to the tower of wisdom.

 「過度という道こそ叡智の宮殿に通ずる。」(寿岳文章訳)

 

 

あけましておめでとうございます。

 

2012年が、みなさまにとってよい年でありますように。

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

    2012年1月1日 ミッドナイト・プレス 岡田幸文

 

  *

 

新刊のお知らせ

高橋英司氏の『詩集 ネクタイ男とマネキン女』を刊行しました。詳細は「新刊のお知らせ」をごらんください。